【オーシャントリコ評価・比較レビュー】 OCEAN TOKYOオリジナルワックスの使用感とオススメ!
遂に発売したオーシャンワックス!
オーバードライブ、クレイ、エッジ、エアー、ナチュラル。
いま最も勢いのあるメンズヘアサロンと言っても過言ではない、OCEAN TOKYO。
そんなオーシャンが初のオリジナルワックスを発売したとあって、心躍った人も少なくないはず。
僕も、片っ端からワックスを集めた「あの頃」を思い出した。 (男子たるもの一回はワックス集めにはまるよね笑)
それでも値段的に安くはないし、使い切るのにも時間がかかるから、「ワックス選びに失敗したくない!」というのは、皆に共通する思いだろう。
オーシャントリコは間違いなくどれも良品なのだけれど、勢いに任せて買ってしまうのは失敗のもと。
このレビュー記事が、これから購入を検討している方にとって少しでも参考になれば幸いだ。
この記事では、僕の少ない知識の範囲内ではあるが、他の既存ワックスとの比較という観点も意識してしていく。
また、先日オーシャン本店へカットに言ってきたので、伸びて重くなった髪と、カットしたての髪での使用感の違いにも触れてみようと思う。
さらに、オススメの使用法等もこっそり聞いてきたので、それも併せて書いていく。
※ワックスの選び方については別記事に移しました。
「完璧」なワックスなんてない
それでは早速レビュー、といきたいところだが、まず先に一言。
「良いワックス」の定義は、使う人それぞれの髪質や作りたい髪型によって異なる。
多くの人が使いやすいという意味で、万能に近いようなワックスはもちろんあるが、それでも万人が良いと感じるわけではない。
「これ使っとけば間違いない!」なんてのは強引だと僕は思う。
ときどき、他人から勧められたワックスを試してもうまく使えず、自分の髪質が悪いと思い込んでいる人がいるが、それはとても勿体ないこと。
髪型って顔の近く、というかほぼくっついてるのでコンプレックスになってしまいやすい。
自分の髪質や作りたいイメージに合ったワックスを選ぶことで、たかが髪ではあるけれど、少しでも自分に自信を持つことができれば素敵だと思う。
以下、オーシャントリコ各種のレビュー。
OVER DRIVE
その尖った性能とネーミングからか、よく売れている印象のOVER DRIVE。でも使いやすいかというと...?
最もドライな質感ということで手触りも硬いのかと思いきや、テクスチャーはトロットした普通のクリームタイプワックス。手にも伸ばしやすい。
ただ、髪に伸ばしていくと次第に乾いていくのが感じられる。このとき、手にとったワックスが足りない時の感覚に近い感じで少し不安になる。
手早く全体に馴染ませていくことが必要なので、シリーズの他ワックスと比べてやや中級者向けという印象。
使用感としては、LIPPSの白、L08マットハードワックスを尖らせた感じとでもいうべきだろうか。
LIPPSの白は、僕が使った範囲ではあるが、個人的に多くの男性にとって最も万能に近いワックスだと考えている。
最初は少し硬めのクリームで、髪に馴染ませていくにつれて乾いていきマットな質感になっていく。その乾く時間が絶妙で、軽く散らして整えるだけのセットも束を作り込むセットもできる幅の広さが魅力。束を作り込んでもマットなおかげでやりすぎに見えないのも良い。
オーバードライブは、そんなリップス白の性能をより尖らせ、よりハードに、よりマットにしたもの、という印象。
リップス白は、ベリーショートの状態ではセット力が心許ない部分があったが、これなら十分。というか、髪にある程度の長さがあるとパワーを持て余すかもしれない。
そして、束感はリップス白よりも控えめ。綺麗に束がまとまるというよりも、毛先が少しほつれるような感じ。
スタイリングイメージのようにセットするためには、事前にしっかりとアイロンで形を作った髪や、カットしたての髪に手早く馴染ませてから毛束をつまんでセットするのがよさそう。
あるいは、髪にもともと水分の少ない乾燥毛の方は特に、後述のEDGEやAIRと混ぜると扱いやすくなる。
引っかかってうまく馴染まないような感覚がある場合は、まず手持ちのもので構わないので柔らかめのワックスと混ぜることを試してみるといい。
ただ、作り込む髪型にしたいのであれば、後述のクレイの方が簡単。
さらに注意点なのは、おそらくかなり揮発性の高い成分が使われているので、フタの開けっ放しには相当気をつけなきゃいけないこと。
トリコの円柱状の細長いデザインは空気との接点を減らして長持ちさせる意図があるらしいが、それでも開けっ放してたら同じことなので、気をつけましょう。
まあ全部のワックスに言えることではあるけど。
一言:使いこなせたら格好良い、ワンランク上の尖ったワックス!
(この一言、一応全部書くけど、そんな気にしなくて大丈夫です笑)
CLAY
ドライな質感とセット力、性能の近い上記オーバードライブに喰われている印象のあるCLAY。でもこいつがトリコの真骨頂かもしれない。
根強いファンを持つクレイワックス。その代表格と言えばデューサーの紫、6番が挙げられる。最悪ともいえる洗い落ちの悪さと引き換えに、強力なセット力とキープ力、マットな質感で人気のデューサー6。
オーシャントリコクレイは、それにかなり近い性能になっている。固い粘土のような手触りはまさにそれ。
ちなみに、こういう固くて伸ばしにくいワックスは、掌で軽くあたたためるようにしてあげると伸ばしやすくなる。(冬場は大半の家が洗面所冷え切ってるから特にね。)
使用感については、ショートの範疇に収まる髪形であれば、かなり使い勝手が良いと感じた。
ツヤの出ない質感なので、あまり作り込まず、ボリュームを調整するだけの控えめセットにも向く。
ベースのカットがしっかりしていれば、適度な束感があってボリュームを出すところは出すんだけど、がっつりセットしてる感じは出さない髪型を作ることができる。
その点では、今のトレンドど真ん中かつ、学校や会社で使うにはベスト。
また、水分量が少ないため、気合を入れてアイロンでしっかり作ったときの形を崩さず、カールをしっかり反映してくれるので、がっつりセットにも対応。
さらに、強いくせ毛の人がアイロンを使って癖を活かす髪型にする際に、このクレイは最適。詳しくは以下の記事↓で。
ただ、ある程度伸びてきた髪には、このクレイ単体ではセットの技術がそれなりにないと厳しいかも。その際、後述のAIRなどハード過ぎず軽さのあるワックスと混ぜてあげれば髪への馴染みは良くなる。
そして、洗い落ちが良い! もちろん他と比べれば落ちにくいがクレイワックスとしては十分。
ただこれはあくまで予想だが、デューサー6番と比べて洗い落ちが良いということは、その最大の長所である湿度への強さもある程度犠牲にしているのではと考えられるので注意。
一言:日常使いからキメキメまで、違いが感じられるワックス!
EDGE
シリーズでも基幹的なワックスという位置づけと思われるEDGE。オーシャンっぽい髪型にするならこれ。
シリーズの中でも、束感を出すことに特化したエッジ。
正直なところ評価が難しい。
というのも、この類のワックスは既存の良品ワックスがひしめく激戦区で、どうしても見る目が厳しくなってしまう。
その中で選ばせるには「OCEAN TOKYOというブランド」以外にもうひと押し欲しい。
その点でいえば、これでなくてはいけない理由はあまり思いつかない気もする。
もちろん、使いやすさという意味では優秀。
カットしたての髪にしっかり馴染ませて作り込んでいく、気合い入れたい日用のワックスとしてしっかり機能してくれる。
使用感としては、オーシャンがトリコ導入前にサロンワークで使用していたデューサーの黄緑、4番に近いかな。
ただデューサー4番と異なり、ファイバ―は入っていない。
位置づけ的にはリップスのL14に近いようだけど、あれよりは使いやすいかな。
エッジは、髪なじみがよく、乾くまでゆとりがあるのでしっかりと作り込むことができる。そして束感はややシャープな感じになる。
僕はあまりスプレーを使わないんだけど、単体でもそれなりにキープ力があり時間が経ってもあまりへたってこないのもいい。
それで伸びて来たら後述のAIRやNATURALと混ぜるのがおすすめ。
エッジを買ってみたけどうまく使いこなせないという場合は、これらと混ぜてセット力を調整してみるといい。混ぜるならまずはエアーが良いんじゃないかな。
もちろん良い。けれど単体では「絶対これ!」とはなりにくい商品。個人的には少しツヤが出すぎに感じる。
僕は、束感の強さをはじめ、髪型をどの程度主張させるかは個々の顔の濃さに応じて調節すべきだと考えている。(詳しくは以下の記事で)その点、エッジは調節が難しいワックスと言えるかもしれない。(使いやすいがゆえについついやり過ぎセットになってしまう。)
「オーシャンっぽい」髪型にするには最適ではあるけど、普段使いなら薄付けにした方がいい。
意図せず酷評っぽくなったのでフォローしておくと、ツヤを残してがっつり束感を出したいならエッジは無二の性能。特にカラーした髪はキレイに見せてくれるはず。
ちなみにハイトーンの髪の場合は、質感に違いが出ないようしっかり全体に馴染ませることが重要。
また、シリーズ内での「混ぜ」でも良い働きをしてくれる。
上で挙げたように、エアーでは物足りないときにセット力を上げてあげたり、クレイやオーバードライブに、もう少し束感を出してあげる、とか。そういったトリコシリーズのつなぎ役として機能する。
ちなみに、クレイとエアーを混ぜると、このエッジと近いワックスを作ることができる。(ツヤ感やセット力は少し落ちるけど)これは、オーシャン本店でも確認済み。なのでクレイとエアー、両方あるなら必要性は薄いかも。
一言:痒い所に手が届く、実はサポート型便利ワックス !
ちなみに、毛束を作ることに特化したハードワックスでは、リップスの「ハードブラストワックス」が良い。
白の「L08」とは対照的に伸びの悪さが特徴で、馴染ませる際に「引っ掛かる」感じがある。この引っ掛かりが髪を立ち上げたり束感を作ってくれるので、最近多くのメンズヘアサロンが提案しているような、細かい毛束を激しく散らす髪型に最適。
実は使う量を調節してあげれば、そこまでわざとらしい感じにもならないし、伸びてしまった髪にも束感を出すことができるので意外と使いどころが多いワックス。
AIR
エッジと並ぶ基幹的ワックスと思われるエアー。
テクスチャーはかなり水っぽくトロトロとしている。
予想ではLIPPSのL12に近いのかなと思っていると、正にそんな感じ。
伸びの良さが抜群で、ある程度長さのある髪に最適なL12
エアーは散らしているだけで、つまんだりしなくても勝手に束が浮き出てくる。
伸びた状態の髪で試して、一番使いやすかったのはこれ。柔らかくて髪なじみが良いうえに、適度なセット力があるので、伸びてきて野暮ったくなった髪にも軽い動きを出せる。
耳の半分にかかるくらいの長さの、少し長めのショートヘア~ミディアムくらいの長さにはすごく合うワックス。それくらいの長さならある程度のツヤがある方がいい場合が多いし。
リップスのL12と比較すると、こちらの方がわずかにセット力が強い印象を受けた。
どちらか選ぶとしたら、スペック以上に、他のシリーズを持っているかや、匂い、容量などで考えることをおすすめする。
あとは、セットが苦手な人でも、バサバサと全体に馴染ませたら顔回りなど押さえたいところを抑えてトップや襟足を調整するだけのお手軽セットにも向く。
よりはっきりした束感が欲しいなら、指でつまんであげるか、持っているならコームの細くなっている先っぽで下から毛束を持ち上げて浮かせてあげれば良い。
それか、上述のEDGEと混ぜてセット力をあげてもOK。
一言:伸びてきても! セットが苦手でも! 面倒臭がりには一押しのワックス!
NATURAL
スタイルイメージも売れ行きもナチュラルな印象のNATURAL。
シリーズ唯一のファイバー入りワックス。
あまりこの類のワックスを使ったことがないけど、状況次第ではかなりいいワックスだと思う。予測だけどナカノの3番か4番あたりに近いのかなあ…
用途としては、ある程度長さのある髪に毛流れやツヤを出してあげる感じ。
強めのパーマをかけてる人もこれくらい軽いワックスがいいよね。
あるいは、ハイトーンの髪をノーセット風にしたいような場合にも、軽く馴染ませてあげれば発色をキレイに見せられ、パサつく毛先も抑えられるのではないかと思う。
セット力はそこまで期待できないので、カールやハネを作りたいならドライヤーやアイロンで作ってあげてから薄く馴染ませていく感じ。
髪をしっかりセットして毛束を出す髪型はやりすぎなければ、ある程度顔をごまかす、いわば雰囲気イケメンにしてくれる効果がある。
裏を返せば、ノーセット風の髪形は完全な素材勝負になるということを理解しておいた方がいい。自然体で格好いい超絶イケメンを引き合いに出して髪をいじることを否定する人がときどきいるが、それは自分を厳しい方へと追いやっているだけだと思う。
そういう意味では、自然体とやりすぎの間で、自分に相応しいポイントを模索することこそが、多くの男性にとって必要なことなんだろう。
話は戻って、オーシャントリコ、NATURAL。
全く動きが出せないわけではないし、むしろドライやアイロンでサポートしてあげれば、普段使いとしてこれくらいが丁度いいという人も多いはず。
例えば、髪にそれなりの長さがある場合や、強めのパーマをかけていてそれを活かしたい場合、または自然なツヤや毛流れのあるショートスタイルを作りたい場合に向いていると思う。
一言:髪型でも顔でも、素材を大事にしたい系男子にオススメのワックス!
その他
匂いや価格と内容量、洗い落ちについて書く。
こういうのはまず初めに買うべきなんだろうけど、あまりに前置きが長くなってしまったので最後に回した。
匂い
香水とのコラボ(というか香水が作っているメーカーが作ってるのかな?)ということもあって、賛否両論の印象。
実際、少し安っぽい香水の匂いで、本当は香りと言った方が良いんだろうけど、匂いって言いたくなる笑
確かに、付けてからしばらくは匂いが続く気がする。しばらくして忘れた頃に腹筋とかすると、「あ、まだ残ってるわ」ってなる。
ただ、他のワックスと比べてそこまで匂いが強いかというとそうでもないんだよな。個人的にはデューサーの匂いの方が強烈な気がして苦手。
周囲に聞いてみても、そこまで感じないという声が多かった。匂いって鼻に残るって言うし、気になるのは自分だけで他人からしてみれば気にならないのかもしれない。
おそらく、ワックスってロウやらなんやらの素材臭を消すために強めの匂いを付けている部分が多いんではないかと推測する。だから、無香料バージョン出ないかななんてこと考えてる人はあまり期待しない方がいいんじゃないかな…?
悩ましいのが、まずパターン①:自分の好きな香水を別につけたいという人。
当然、香水ほど強く香るわけではないので、併用も可能だと思う。
ただ、匂いが混じり合ってしまうことは避けたいので、首筋につけたり全身に香りをまとうような付け方ではなく、頭から遠い、太ももやくるぶしの辺りにつけることを勧めする。
そしてパターン②:会社にこんなのつけていけないよ!という人
そもそも会社でのことを気にするならワックスも薄付けだろうし、そこまで神経質になるほどは匂わないと思う。相当大事な相手と会うなら気にしても良いけどさ。
価格と内容量
80gで約1600円なので、容量に対する価格は他のサロンワックスに比べると、少々強気な設定。
リピートしていくとなるとやはり、量あたりの価格は抑え目な方がありがたいし。
もちろんもっと高いものもあるにはあるが、競合してくるものと比べるとやはり高めな印象。
また、リップスもそうだし、ウェーボなどは容量の少ないタイプを発売している。なんか損してるみたいで買うのはばかられるんだけど、試して結局使わないよりははるかにお得なので、あるとありがたい。また、ウェーボはたしか容量の多い詰め替えタイプも発売していたように思う。
価格設定については、ブランド料ということで割り切るとして、量については、お試し用的にも、リピート用的にも内容量にパターンがあると嬉しいので、これは今後に期待するところ。
洗い落ち
ワックスの洗い落ちの良さってめちゃくちゃ大事な部分。
ワックス落とすために何度も髪を洗うのって、安いシャンプー使ってる人にとっては髪のダメージに直結するし、高くていいシャンプー使ってる人は勿体ないしで。
あとはなにより、出かける前急いでる時、洗ってんのにいつまでも手がべたつくのが最悪。
その点、さすがオーシャントリコは洗い落ち素晴らしい。さすがに水だけでスルッととはいかないけどほとんど落とせるし、ハンドソープ使えば楽に落とせる。
シャンプーは一応二回した方がいいと思うけど、その時の量はほんのちょっとでいいからね。 (クレイは流石に少し手ごわいけど、クレイワックスとしては大したもの)
まとめ(と何故かお説教)
ヘアワックス業界は既に多様な良品がひしめくレッドオーシャン。(いや、洒落とかではなく)
そんな世界に出航していったオーシャントリコは、あのOCEAN TOKYOが二年の制作期間を経て発売したとあって、期待を裏切らない出来と言える。
ただ、重要なのはサロンワックスだという点。
製作の過程で、スタイリストの方々としては、自分達が思い描く髪型をより表現したいという思いがあったと推測する。
そういう意味では、同時にタイプの異なる五種類を発売することで、より広い範囲のヘアスタイリングをカバーしようという意図があったはず。
そのためか、それぞれを混ぜ合わせることによってより多くの髪質や髪形を網羅することが前提になっているような印象だった。
なので、上手く扱えなかったり、理想と違ったという方には、「混ぜ」という観点を加えてみることを勧める。
もちろん単体としても素晴らしい。けれど、そのどれもが万人にとって万能なわけではないし、他のワックスを試さずに、「オーシャン最高!」というのも違う。(いや、自分が納得できればいいんだけどさ)
僕らってネットを使えば指先一つで知りたいことはほとんど知れるような時代に生きているせいで、なんか賢くなったような気になるけれど、結局色々試してみないことにはわからないことの方が多い。
ワックスの話だったのになんか抽象的だけど、最近なんかわかったようなこと言った極端な言説が多いと感じるので。ネットレビューでいうことじゃないけど、レビューなんて話半分で読むべきもの。
時代でいえば今は、ロフトとかに行けばいくらでもテスター使って試せる時代だし、失敗も少ないよね。何が言いたいかって言うと、ネットで情報収集するのは大事だけど、それで視野を狭めるよりは自分の感覚で選ぶのも大事だよっていう話。